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土日農業研究会のページ

会のプロフィールを小史としてご紹介します。


その一

 1995年4月1日。筑波山を望む、茨城県新治郡八郷町宇治会の、なだらかな台地の一角に最初の鍬を入れたのが、会の始まりです。その耕地は故柴山清さん(当時 69 歳。03年没)がタダで貸して下さった極上の畑 10a です。忘れもしません、その日、頭上ではヒバリが高く低く鳴いていました。初作業は肥料散布です。次いで、耕運機で耕し、畝をつくり、ジャガイモの種を植えました。

 7月、薄紫色の美しい花が咲き終わり、畝を掘ると、お肌スベスベの立派なジャガイモがワンサと成って取れました。早速食べたふかしイモのおいしさといったら、ありませんでした。その香り、フカフカした食感・・・・・。太陽の恵みの下、農薬を使わず心を込めてつくった野菜の本当のおいしさに出会いました。

 この体験で、ボクは、通いの遊びの農業ではあるが、「農業」というものの面白さの虜になってしまいました。同時に、柴山さん、その後お近づきになれた永瀬さん、高橋さんら土地の人たちの、土くさく、人間くさい人柄と生き様に惚れ、わざわざ通ってでもこの人たち、この風土に接する価値がある、と思うようになっていました。畑はボクの住む鎌倉市から高速道を走って2時間半です。新聞記者をやめフリーの物書きに転じて6年、暮らしに潤いを求めていたボクにとって、筑波山を目指して走るこのドライブは、恰好の気分転換の助走部分でした。

 柴山さんの畑は、JA八郷の職員である柴山さんの息子さんを、ボクが以前の新聞記者時代からの取材を通して知っていた関係で、お父さんが「年を取って手が回らなくなったから」と貸して下さったものです。農家の高齢化は全国で急速に進んでいて、耕し手のいなくなった休耕地は増えるばかりで、いまや 20万ヘクタールにも上ると見られています。



その二

 ボクが土曜・日曜八郷町に通って農業をやり始めたことが知れだすと、友人たちがあっという間に仲間に加わってきました。都市民の、自然や田舎を求めるニーズが高まっていたんですね。それならと1ヶ月後にボクは「土日農業研究会」を立ち上げ、会をオープンにしました。そして直後の GW 中に、読売新聞家庭欄が5回に渡り、ボクのホヤホヤの農業体験を「土日農業コト始め」というタイトルで連載してくれました。記事の反響は大きく、9月に入会の説明会を開き、一挙に 30人の会員を擁する会になりました。翌年、隣の玉里町に田圃20アールを借り、コメづくりも始め、今日に至っています。

 メンバーは出入りがあって、いま約 30人。千葉、埼玉、東京、神奈川の首都圏のサラリーマンや自営業者、主婦たちです。うち3分の1が、毎週ないし2週間に1度の出動という熱心組です。耕しているのは畑 30 アール、田圃 20アールで、ひところ田畑ともその2倍という時期もありました。地代は有料・無料半々です。

 野菜は、ざっと 50種つくります。年中収穫できるように、タイムラグをおいて種まきをしているので、いつ出ても、なにがしかの作物は収穫して帰れるようになっています。毎週出る人は野菜はほぼ自給といってよい状況です。コメは例年1人 60kg 前後ずつの分配なので、家族構成によっては、こちらもほぼ自給という人もいるようです(いま日本人のコメの年間消費量は1人 60数s といわれていますが)。

 みんなで共同作業するというのが会の原則です。また、「出られるときに出て、収穫物は葉もの類は出動者が適宜持ち帰る、イモ類などは出動回数にかかわりなく平等に分ける」ことをルールにしています。経費は分担制とし、畑は年間1万円、田圃は1万5000円〜1万3000円(他に会報や通信費等の年会費が3000円)となっています。農場では、田畑ごとにリーダーをおいていますが、誰も作業の命令を出したりはせず、みんな好きにマイペースで働いています。管理社会から、ひととき自由な社会に戻ることも、二次的ではあるが、目的の一つですから。みんなが気持ちよく、楽しく、農作業をすること、すなわち協調して共同作業をすることがモットーなのです。旧人たちがコツコツ築き上げてきたこの気風は、見事に会の鉄則として根付いており、新人たちもそれを尊重し、たちまち会に溶け込んでいます。



●その三

 作業は1〜2月、12月はいくらか少ないですが、年中あります。3〜11月が中心的な作業シーズンです。田圃の作業があり、田畑ともに除草が大変な4〜9月が繁忙期です。年初の作付け会議で、1年を通しての作付け計画を決めます。これにしたがい、仕事が忙しい人は月に1回とかの年間出動計画を立てているようです。農作業のほか、3月、4月、5月には、何箇所かの提携農家で筍を掘らせてもらったり、5月にはイチゴ狩り、6月には梅もぎ、桑の実つみ、9月には栗拾いなどをイベント的にやっています。

 八郷町の隣町、千代田町に他のグループの人たちが建てた、田舎ぐらしを楽しもうというロッジ「夢想庵」に集う、趣味人たちと縁あって、03年から交流しています。その庵の敷地内に陶芸家が窯をつくり常駐して作陶し、ボクらにも教えるといってくれているので、農業のかたわら陶芸に手を染める仲間も出そうです。

 今年、わが会も設立10年目を迎えます。農と食の体験が、さらに幅を広げそうで、どんなことになるか楽しみです。イチゴ摘みをさせてもらっている農家とは、ボク個人としてはもう20年来の付き合いですが、こちらも母屋の隣に建てたイチゴ出荷用の家に、「消費者交流の部屋」をつくってくれ、宿泊を勧めてくれています。長年のお付き合いがこんな形で実を結んできたのかと喜んでいます。さて、こちらはどう展開しますか・・・・・・。

 共同耕作が原則だと書きましたが、会設立当初からのメンバー、木村さんは3年前から本物の農業へ転業し、毎日八郷町へ通い、共同農場わきの個人ファームで野菜づくりをし、埼玉県の地元市場に出荷し、通いの農業で一本立ちしつつあります。

 木村さんの営農状況なども、このページで随時リポートしていこうと思っています。



●入会について

 基本的に、入会希望は受け入れています。会の目的は、ただただ農業を楽しむこと。
農的生活をライフスタイルに取り込んでいこう、ということです。会則には「自ら汗を流し、安全な野菜や米を自作し、それを食べる喜びを味わい、同時に農業と食への理解を深 める」と謳っています。
 入会の条件は、会のその目的や趣旨を理解し、仲間と協調して作業をすることです。
農業に関心があり自然やアウトドアライフが好きな人なら、もうそれで資格は十分です。
また、車があった方が便利なのはいうまでもありませんが、絶対条件ではありません。

 もう一点言えば、宮崎隆典著「週末農業を楽しむ本」(実務教育出版)を読んで下さい。
仲間がどんなスタンスで農業をやっているか、農業や農的生活をどう楽しんでいるかを体験に基づいて書いていますので、それらがよく理解していただけるはずです。新加入にあたっての必読書です。

 入会希望の人は、実際に何回か我々の農場で体験してもらい、失礼ながら協調性や、適性などを見た上で、入会を決めさせていただきます。
 また、首都圏以外で、こうした農業グループをつくりたいという人には、そのノウハウを伝授致します。


お問い合わせは kamamita@live.jp までお願いします。


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