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作業日誌

5月21日
早くも真夏日の作業&イチゴ摘み
5月7日
田植え

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■5月21日 慶大生を迎えて--早くも真夏日の作業&イチゴ摘み

田植えなど田圃の作業が一段落。いよいよ畑が忙しくなります。この時期の定番は例年、作業&イチゴ摘みです。でも仕事の都合がつかなかったり、結婚式と重なったりで、参加者は5人。ちょっぴり寂しい作業日となりました。その代わりに、慶応大学の学生4人が、「地域経済」の教科でフィールドワークを課せられ、八郷町で活動するわれわれのことと、地元農業との関連を調べたいので土日農場を訪問したい−−と数日前に申し入れてきたのを受け入れ、彼らにも作業を手伝ってもらいました。取材を受けることがめっきり多くなった昨今ですが、この日も、取材のおかげで充実した良き日でありました。

慶大生は経済学部の3年生男2人と、4年生女2人。バスで来ると言うので、八郷の畑に近い常磐線「高浜駅」でピックアップする話を進めると、「午前7時過ぎ着」の電車で良ろしいでしょうか、と代表者が真摯な姿勢を見せました。それに心を撃たれたボクは、「4人とも車でピックアップします」と即答、自車と麻賀さんの車2台で、4人を同行したのでした。土日ファームでは、30種ばかりの野菜をひとあたり見せながら何畦かずつ品種を変えて混植している様子、それが特定の虫や病気を避ける有機無農薬栽培の基礎であること、キャベツなどの虫は集中虫取りをし、すべて手で潰し農薬は原則使わない態勢を敷いていることなどを説明しました。車中で話した会の運営のことと合わせ、ざっと会の現状を理解してもらったところで、精勤メンバーの麻賀さん、若月さんが、早速4人に作業の手伝いを頼みました。農作業体験もフィールドワークと心得ているのでしょう、4人は興味津々の面持ちで、あれこれの作業をやってくれました。芽を出したゴボウ苗の間引き、収穫期の近いニンニクの花芽の切り落とし(根の玉に栄養分を行かせるため)、さらには耕運機の運転・・・とおそらく人生初の(あるいは最後の)体験作業を、4人はじゅうぶん嬉々として、かなり本気でやってくれました。

こちらも嬉しくなり、作業中に訊かれるあれこれのことに、真面目にきっちりとお答えしたのでした。麻賀さんも若月さんも同じように見えました。途中、顔を見せた木村さんも然り。木村さんについては、ああ、専業になったあの方、と良く知っていて、感心しましたが、木村さんはどう攻められたのでしょうか?我家の庭で苗取りしたヤーコンの苗80本ばかりを、この日植えましたが、植えたのが、前作にライ麦を作ったあと地で、刈ったライ麦を敷き藁にするべく山積みにしてあるのを見ながら、彼らにライ麦の講釈を少ししました。つまり、野菜類と禾本科(かほんか。稲や麦)を交互に植えると、土地が痩せずに、土地の栄養バランスが良くなり、特定の土壌細菌の繁殖も防げて良いと。すると、柏木君(だったか)がそれを知っていました。そして「ライ麦畑でつかまえて」という小説のことへ話が進み、「サリンジャーの、」と即座に正答が返ってきました。

夏野菜の種まきをする畝をつくる作業
研究会の看板を入れて記念撮影
夏野菜の種まきをする畝をつくる作業
研究会の看板を入れて記念撮影

話は飛んで、竹村さん宅でイチゴ摘みをして、4人をどう送るかの話になったとき、柏木君が「ボクは水戸へ行きたい」というので理由を聞くと、「ここまで来たので水戸の恩師を訪ねる予定にしている」とのこと。午後7時半にもなり、ケイタイで恩師には次の機会にしたらと言われましたが、「一度約束したことなので、やはり行くことにしました」と言うのです。高浜駅まで送ったボクに、取材のお礼を言い、深々とお辞儀をして去って行く彼に、ボクはこう言ったのでした。「君の、朝7時の電車で良いか」という一言がボクには”殺し文句”だった、来年は就職だろうけれど、面接では一言の”殺し文句”は利くんだよ、と。

さて。話が飛びました。作業に戻ります。昼食後、この日のメイン作業が待っていました。畑Aのジャガイモの土寄せです。5アールほどのかなり広い面積に、5種類ばかりのジャガイモが植えられており、30センチにも大きく葉を茂らせています。一部、紫色の花を咲かせている株も。1か月ばかり前の土寄せのあと手当てをしていないので、ホトケノザやアカザを中心に雑草も大きく伸びています。雑草を抜きながらジャガイモの茎の根元へ、土を寄せ、丸く高い畦をつくりました。農作業の中では、除草を兼ねた畝作りが、中腰で腕の力を使うので最もキツイ労働です。1列20メートルほどの畦20列ばかりを、われわれ3人プラス2人の男子学生で攻めに攻めました。真夏日の照り返しの中で、少し進んでは腰を伸ばし大きく息をつき、ひと休みしてまた攻める、という作業。十分疲れたところで、役場からの5時を告げる音楽「夕焼け小焼け」の放送が流れ、ちょうどよく作業も完了したのでした。ジャガイモの隣りで取りごろになった大根やシュンギク、京菜などを収穫、さらに新畑のわきで伸びるフキノトウを取り、みんなで分けました。最後に道路の掃除をし、この日の店仕舞いをしました。

「甘い甘い」と大喜びの慶大生4人組
大漁のイチゴ摘み。ほら、こんなに・・・
「甘い甘い」と大喜びの慶大生4人組
大漁のイチゴ摘み。ほら、こんなに・・・

最後に竹村さん宅でのイチゴ摘み。6時に着き、慶大生も含め9人で摘ませていただきました。われわれ土日のグループのために空けておいたというハウスで、食べながら、摘みました。もう10年もこの時期のイチゴ摘みをやらせていただいていますが、今年のイチゴの出来は、素晴らしいものでした。甘い、甘い。どうしてこんなに甘いのか、と不思議なくらい、とにかく甘いのでした。品種はトチオトメ。そして有機無農薬栽培。プラス竹村さんの腕が利いてのことでしょう。学生たちも「甘い、やばい」と驚きの声を上げました。「やばい」ほど!? でも、ンン、納得できる。驚きながら食べながら、4ケース入る箱2つ分も4人全員が強欲に摘み取ったのでした。お茶をいただきながらも止まない、旨い、旨いの大合唱に、竹村さんが相好を崩して言いました。「旨いって言ってもらえるのが一番嬉しい。みんなに喜んでもらえて、おれは幸せ」。午後7時半、重ね重ねのお礼を申し上げ、竹村家を辞しました。ボクもまた慶大生から「やばい」ほどのお礼の言葉を言われ、分かれました。
ボクは答えました。「It's my pleasure.」

(5月22日 宮崎記す)

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■5月7日 田植え

大型連休中の7日、玉里村の田圃に31人が出動、賑やかに田植えをしました。植えたのは「あきたこまち」。20アールの田圃に、もちろんすべて手植え。朝から昼過ぎまでの 3時間半ばかりで終了。田の面いちめんに緑の早苗が整然と植わり、田圃は初夏の装いに変わりました。

午前 8時。準備のための要員がボクを含めて何人か集まりました。予報通り生憎の小雨模様。でも「熱意で雨なんか吹き飛ばしてやろう」と早くも気合を入れ合いました。準備は、協力農家・西村さんから田植えの線引き用道具(野球場整備のトンボに似ているので勝手に線引きトンボと呼んでいる)をお借りしてくるのと、上田さん・貝塚さんから畦の草を刈る草刈機を借りてくること。そして、近くの農協の育苗場へ行って注文してある稲の苗を運んでくることです。これを手分けしてやりました。田植え前のウォーミングアップでもある軽作業。これらの準備をしながら、気分を盛り上げていくのです。女性軍はというと、久しぶりに会った我が家の山ノ神サマと小林家の山ノ神サマ、宮本家の山ノ神サマたちが田圃を見ながら、井戸端会議を・・・いや失礼、昼食の味噌汁作りのお打ち合わせをなさっておりました。

雨中の田植えを楽しむ桃子さん(中央)。
アシャカシャンと一緒に歩き回る武資くん。
雨中の田植えを楽しむ桃子さん(中央)。
アシャカシャンと一緒に歩き回る武資くん。

9時。代掻きされた田圃には縦横にトンボを引いてできた格子状の線が付き、畦の草もキレイに刈り取られ準備OKです。9時半には会員と援農の人たちを含めて全部で31人がそろいました。援農者はもう 5年もきていただいている東京の佐藤さんと長女の桃子さん(小学 3年)、梶谷さんと、今年初参加の 2人の合計 5人。会員26人のうちの数組は昨年後半からの新入会で田植え初参加です。うち1組は当欄で何度か紹介した矢作さん1家4人で、3歳になった長男武資くんと生後 8か月の長女怜子ちゃまも一緒。みんなに「よく来たねえ」と歓迎を受けました。この際、怜子ちゃまも早乙女の1人にお加えいたしまして、ハイ、都合31人の植え手が勢ぞろいしたというわけです。おっと武資くんがもう働いています。アシャカシャン(麻賀さん)の後を追って、苗配り(板状の群になっている苗を手の平大に千切って田圃の中に投げ込む仕事)です。小学 3年の桃子さんもソフトボール投げの感覚で、きゃっきゃ笑いながら苗束を投げています。体じゅうで喜んでいます。おじさんたちと交わす言葉も弾けます。天真爛漫。田圃に”華の早乙女”ぶりです。

田植えは毎年お話ししていますが、縦横格子状の線の交差した点に、10〜15センチに伸びた苗を 3、4本ずつに千切り、指を添えて田に差し込むという要領でやります。前向きに植えて行く人、バックしながら植える人と2様です。裸足でズボンを膝まくりしてやっている人が大多数。脛の半分ぐらいまで泥田に足を突込み、足場を固めて、腕を伸ばし 3、4列植えては足を抜き、次へ向かいます。おっとっとっと・・・・・・体のバランスを壊し倒れそうになります。ときおり「あーっつ」という悲鳴が起き、みんなの注目が集まります。「今年はなんか泥が深い感じだね」とベテランの小野田さん。なぜか分りませんが、確かに。「代掻きしてくれた人が深くやってくれたんですかね」と田圃リーダーの小林さん。これが豊作につながればなあ、と深く心に祈る私でありました。いえ、きっとみんな。今年こそ、7俵半(10アール当たり)の壁を破ろう、というのが新年ミーティング以来のみんなの願いですから。

1年に1度の大出動。賑やかな記念撮影。
同左。
1年に1度の大出動。賑やかな記念撮影。
同左。

1年1度の全員の顔合わせ。あちこちで四方山話をしながら、田植えが進んでいきました。小雨がずっと降り続きましたが、11時ごろに降り止み、次第に晴れました。すっかり晴れ上がった12時半、3枚目の田圃を攻めていたグループが植え終わり、「終わったあ」の喚声。なんと 3時間半で20アールの田植えが終わったのでした。他のグループが畦の際に波板も張り終わって、完了です。格子状に緑の幼苗の並ぶ田の面を眺めながらひと背伸びし、田圃の空気を胸いっぱいに吸い込みました。霞ヶ浦べりに流れる、精気あふれる空気の美味しかったこと!! さあ、昼飯・・・・・・いやいや、記念写真です。デジカメ何台かで撮り終わるや、いつもの昼食会場・農民会館めがけて、みんなバタバタと駆けて行きました。

テーブルに着いたみんなの前に味噌汁が配られ、「いただきまーす」と一声。ビールの缶を抜く人も。東京の小泉さん(世田谷で都市農業をするわれらがメンバー)がつくってきたという「ハルジョンのゴマ和え」がみんなに回され、珍味に舌鼓を打ちました。「ええーっつ、これ雑草?」と質問が飛び、すかさずボクが会館の庭に出て、蕾をもったハルジョンを摘んできて見せました。以前、畑でやった「野草の天麩羅会」の際にハルジョン・ヒメジョンを加えるのを忘れていたものですから。食事のあと、この春、桜の名所・長野県高遠町へ移住したメンバーの実山さんや、千葉県白浜町に別荘を確保した中本さんに新しい暮らしや住み心地について話してもらい、お二人から「どうぞお遊びに」とご招待を受け、拍手大喝采でした。

大勢で食べる昼食は最高(怜子ちゃま、桃子さんも)。
怜子ちゃま、みんなに抱っこされて。
大勢で食べる昼食は最高(怜子ちゃま、桃子さんも)。
怜子ちゃま、みんなに抱っこされて。

3時。八郷町の畑に回ることにし、ほとんど全員が移動しました。畑では、ビニールハウスのビニールを張る作業などなどをみんなうちそろってやりました。みんな本当に元気です、タフです、働きものです。その間、ボクとあと数人が一緒に、近くの広瀬さん宅を訪ね、タケノコを掘らせていただきました。孟宗竹のタケノコはちょうど出盛りで、ニョキニョキ顔を出していました。広瀬さんのご好意に甘え、車いっぱい掘らせていただきました。畑へ持ち帰り、25人に 3本ずつにもなる大お土産となりました。今年、タケノコで特記しておきたいのは、NHK情報で、大きく成長したタケノコでも頭の50センチくらいは十分美味しいというので、これも持ち帰ったことです。その通りで、程よい硬さで本当に美味しゅうございました。それと毎年のことですが、田植えのあと西村さんからはレンコンをこれまたいっぱい頂戴し、3、4個ずつ分けてお土産にしました。西村さん、広瀬さんには、このページ上からも改めて、感謝の気持ちをお伝えしたいと思います。
毎年、”美味しい田植え”。本当にありがとうございます。

タケノコを前にハイチーズ。
初体験ばかり。タケノコを掘る武資くん。
タケノコを前にハイチーズ。
初体験ばかり。タケノコを掘る武資くん。

(5月15日 宮崎記す)

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