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作業日誌

3月 4日
ジャガイモ植え

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■3月 4日 ジャガイモ植え

冬晴れの4日。八郷の土日ファームに10組13人が勢揃いしました。その内の1組は新加入の勝海さん夫妻。この日初鍬。勝海さん、タイミングの良い初参加というわけです。30歳代の若い仲間の加入で、畑に活気が漂います。
耕運し、黒々とした地肌を見せる土から立ち上る温気も一段と温もりを増すようです。
新旧の挨拶を済ませ、早速作業開始。この日はジャガイモの種植えです。こんなに早く植えるのは12年の歴史で初めてです。マルチをかけ、畦の地温を上げ、収穫を早めて楽しもうという狙い。麻賀リーダーと若月リーダーが中心になり、畝作りをします。ロープを引き、それに沿って土を盛り上げ、30センチほどの高さの畦を次々とこしらえます。隅の方で女性軍が種芋を包丁で2つ3つに切り、切り口に草木灰を塗る作業を進めています。種芋は4種。キタアカリ、アンデスレッド、メイクイーン、男爵です。
肥料をまき、次に、株間40センチおきにキチンと測り畦に10センチほどの穴を掘って、切った種芋を埋めていきます。勝海さんも旧人たちに教えられ、一連の作業をこなしていきます。「実技試験だよ」などと脅かされながら、しかし、楽しげな仕事ぶりです。「楽しむ農友の脈」大いにありです。

ジャガイモを切って切り口に草木灰を塗る女性軍。
ジャガイモの芋が実る場所・畝をつくる。
ジャガイモを切って切り口に草木灰を塗る女性軍。
ジャガイモの芋が実る場所・畝をつくる。

あっという間に12時です。その前11時ごろから料理をつくっていた鈴木さんが、いつもの野っぱら昼食場から「お汁できましたぁ」と呼び声をあげました。お汁は鈴木さんの故郷・山形県鶴岡市のふるさと料理「納豆汁」。納豆をすり鉢で完全に潰し、豆腐とイモガラ、ナメコの味噌汁に、すり潰した納豆を入れた逸品です。納豆と味噌の匂いが混ざり合ったいい匂いがあたりに漂い、みんなが駆け寄るように集まってきます。熱々の汁がお椀に注がれます。みんな丸太椅子に腰掛け、ふうふう食べます。おいしい!!納豆と味噌という、普通いっしょに食べない発酵食品のアンサンブルが何とも素朴でおいしく、こんなに素朴な味はいまどきないゾ、と嬉しくなるようなお味です。2杯、3杯とお替りするみんなに、鈴木さんも満足そう。ふるさとを思い起こしている風情でした。
ところで、藤沢周平さんの小説の舞台「海坂藩」は氏の故郷・鶴岡市あたりといわれます。私も藤沢周平さんの大ファンで若いころ読み漁りました。鈴木さんによると、納豆汁は海坂藩の出てくるどの小説かに登場するということでした。昼食場に、そんな話が飛び交いました。そこに春一番のような強い風が吹き続け、風防の衝立をした納豆の鍋の火が、始終ぼーぼー、音を立てていました。見晴るかす筑波の連山も、春の色を置き始めていました。鈴木さん、男料理ならではのふるさとの味、ご馳走様でした。

基本忘るべからず、と師匠・永瀬さんが植え方を指導。
種芋を植えたあと最後にマルチをかける。
基本忘るべからず、と師匠・永瀬さんが植え方を指導。
種芋を植えたあと最後にマルチをかける。

働き者の土日ファーマーたち、1時間ほどの昼食を堪能すると、さっと午後の仕事を始めました。大根、聖護院大根、ルッコラ、コウサイタイの花(菜の花)摘みなどの収穫を女性軍3人で。植え付けの終わったジャガイモの畝へのマルチ掛けを男たちで。まあ、良く息の合った仕事ぶりです。和気藹々と、楽しげに。そして効率よく。その間、若月さんが耕運機のエンジンをかけていて、起動のための引き紐が切れてしまい、一緒にやっていたボクと二人、あれこれ修復の知恵を絞り合いました。そこへ新人の勝海さんがやってきて、紐をまきつけるドラムを回せばいいのなら、独楽を回す要領でうまく行くかも? とコペルニクス的アイデアを出し、筋入りのビニール紐を直径10センチのドラムにぐるぐる巻きつけ、その先をもち5メートルも走る試行をすること数度、なんとエンジンが起きたではありませんか。ブラボー! ナイス勝海さん。とやこうや、いつも大抵の難問は誰彼の機転で解決できるのです、わが土日農研は。ところが、そのあと畑へ顔を出した農業転向の木村さんが、筋入紐は伸びるからと、チョン切れた元の紐を使い、ドラムに紐をふた巻きもして、ぐんと引っ張ると一発でエンジンが起動しました。ブラボー!さすが木村さん。上には上があるもンです。農業はマルチな特技がないと出来ないといわれます。それを地で行く木村さんの能力をまた1つ見せてもらいました。小さな感動がいつもある土日ファームです。

筑波の連峰を見ながら「納豆汁」に舌鼓を打つ。
こちら、快調な耕運機をかける大友さん。
筑波の連峰を見ながら「納豆汁」に舌鼓を打つ。
こちら、快調な耕運機をかける大友さん。

ハイ、もう今日のレポートはこれでおしまい。午後4時半。大根5本ずつとか菜の花などを分配し、みんなお土産いっぱいに畑をクローズしたのでした。勝海さんは、みんなに「入会試験合格」と言われ大喜び。入会します、と即答が返ってきたのはいうまでもありません。
日曜日、この原稿を書いていて右肩が痛いです。20本ほど作った畝(長さ約20メートル)のせいぜい片側1本ぐらいを、スコップで土を堀り上げする作業をしただけのボク(小屋やハウスの中の整理を主にした)なのに。12年前にはこの程度で肩こりなどはなかったのに、とさすがにトシを感じています。それは当然。畑へ立つスタンスも、農業への思いも、年齢とともに変わってしかるべきですから。世代交代も考えなければなりません。どんな思いの深まる06年になるのか、自分で楽しみです。

食事のあとの記念撮影。
満ち足りた顔、顔、顔...。
食事のあとの記念撮影。
満ち足りた顔、顔、顔...。

(3月 5日 宮崎記す)

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