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作業日誌

8月19〜20日
安房白浜での半農半漁たいけん
8月12日
06夏、嬉しい、新らしい仲間

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■8月19、20日 安房白浜での半農半漁たいけん

8月19〜20日と1泊2日の日程で、千葉県南房総市白浜町の「どにち」メンバー中本行政さんの別荘を、9人の仲間で訪問しました。「半農半漁」の後半生を求め1年半前にこの地に”移住”した中本さんと交流しようという企画です。東京から高速バスで3時間。房総半島最南端の白浜は、太平洋の黒潮洗う雄大な自然と、静かで長閑な生活の息づく別天地。その環境にのんびりと浸り、友と語らい、豊穣の料理を食べ、海と野に遊んだ2日間は、それぞれにとってかけがえのない体験と思い出になりました。以下は、その"白浜遊び”の駆けある記ーー。

●「海ほたる」を経由して
バスは東京アクアラインの海底トンネルを走り、「海ほたる」で海上に出て千葉・木更津に上陸、君津〜館山と高速自動車道(一部未開通)を走り、千倉を経て白浜に着きました。午前10時発、予定より少し遅れ午後1時半着。海ほたるで10分の休憩展望タイムもあり、東京湾岸の遠景(残念ながら富士山は見えず)を楽しめました。バスの終点に、自家用車で先乗りした勝海さん夫妻と、邸主中本さんの車2台が皆を迎えてくれました。真っ先に向かったのは中本農場でした。農場の休憩小屋の冷蔵庫で冷やしたスイカを持ち帰ろうというわけです。

中本邸は大きく重厚な木造の"豪邸”でした。芝生の広い庭に面した、広い広ーい応接間に通され、旅装を解くうち、スイカと冷えた缶ビールが出され、早速「カンパイ」しました。ビールの旨かったこと! 乾いた咽喉、すきっ腹に染みて。最高でした。中本さん自作のスイカにも皆の手が伸びます。旨い! 息もつかず2切れ3切れと食べました。外は真昼の太陽がギラギラと照りつけています。冷房をかけない室内に、海風が入ってきます。冷房など不要。あるがままの自然こそ、ビールにもスイカにもぴったりです。庭へ眼を向けると、仮設のカマドで、邸主が火を起こしています。「白昼夢」のような世界です。

ポークの燻製を室内でつくる邸主の中本さん 着くなり、スイカにかぶりつく筆者宮崎
ポークの燻製を室内でつくる邸主の中本さん
着くなり、スイカにかぶりつく筆者宮崎

●ダッチオーブンの燻製で味わう生涯最高の料理
カマドの周りに建てたヤグラから、ダッチオーブンと呼ばれる鉄製の大鍋がぶら下げられています。鍋に蓋をし底に敷いた桜木などのチップをカマドの火でいぶし、鍋の中を煙でもうもうとさせ、中の網に乗せた魚肉などを燻製にしようというわけです。煙に燻された魚肉は香ばしい smoked foods になるのです。中本さんが予め作っておいたというチーズの燻製を賞味するうち、鶏の胸肉、続いて手羽の燻製が出来上がり、応接間の大テーブルに並びます。

あめ色の smoked chicken を切り分け、塩胡椒をほんのちょっと振りかけそっと食べてみます。旨い! オーッ!といっせいに感嘆の声が上がります。燻製したことにより、鶏肉の淡白な食味がほど良いこってり味となり、香ばしく柔らかな食感を伴って、これまでに食べたことのないような絶妙な美味しさです。胸肉、手羽とも甲乙つけがたい味です。60ン年間生きてきて初めて味わう最高の鶏肉料理です。そばに座っていた40ン年間の土肥さんと、生涯最高の味であることの評価が期せずして一致し、顔を見合わせました。

中本さんがダッチオーブン料理の素晴らしさについて語ります。「食材の本来の味を引き出す燻製料理こそ、料理の王様。塩胡椒なんか使わない方が旨いぐらい。どうですか皆さん?」。その通り、同感、異議なし!「焼肉のたれやらダシの素やらで味付けしたのでは、何を食べても一緒でしょう?」と駄目押しする中本さん。一同、その通りと、燻製を改めて味わい直しました。続いてサザエとホタテのバーベキュー(BBQ)直焼きが出てきました。かくして「おいしい尽し」の時間がゆったりと過ぎて行きました。気がつくと、海側の空が夕焼けし始めていました。

うまいもの尽くしの始まりどき(奥にカマドの火) 同左、三脚を立てて記念撮影
うまいもの尽くしの始まりどき(奥にカマドの火)
同左、三脚を立てて記念撮影

●夕方から援農にも汗を流す
6時、中本農場で何か農作業をしたいということに。さすが土日ファーマーです。女性2人を含む3人は「ゆっくりしていたい」と棄権、残り7人が、中本さんが借りている別荘近くの農場に出かけました。スイカを栽培した区画に張ったカラスや獣の食害防止のためのネットを撤去する作業です。100坪ほどのスイカ畑を覆ったネットは蔓や雑草が絡まり、取り外すには一苦労でしたが、1時間ばかりで完了。中本さんに「大助かり」と喜ばれ、万分の一なりの恩返しができ、自分たちも良い汗を流せた、と有志の面々も満足気でした。

30アールもある中本農場の一角には、農業用ハウスが1棟建っていました。中本さんは友人経営のハウスメーカーに協力し、水耕で実験的にハーブ栽培をしているとのこと。IT技術を駆使したハウスは優秀だけれど、ハーブの販売は難しく、知恵を絞っているとのことでした。夜の宴会で、八郷の土日農場とうまく連携する方法はないかという話題になりました。中本さんは近々、水耕栽培の水を確保するため50万円を投じて井戸を掘る計画だそうで、趣味的農業をベースにする八郷農場に拠る面々は、大いに煽られました。

中本農場で、スイカのネット外し作業をする 夜の宴会に備えてシシカバブー用の木串を作る
中本農場で、スイカのネット外し作業をする
夜の宴会に備えてシシカバブー用の木串を作る

●芝生の庭で談論風発した夜の宴会
帰還し、一風呂浴びて、夜の宴会です。誰が決めるでもなく、自然の流れで。カマドに再び火を起こし、庭に食卓を出し、昼間調理し冷やしておいたイナダの刺身や、じっくり燻しておいたポークの燻製を食卓に並べます。これも、皆が思い思いにやります。イナダの刺身は、以前に寿司店を経営していた吉田さんが、皆が気づかないほど手早く作ったもので、夜の部でも、イナダのカマやアラのBBQに吉田さんが腕を振るいます。ふたたび三度、旨い、旨い!の大合唱です。誰彼が差し入れた焼酎やブランデーも開栓され、皆の口もいよいよ滑らかになります。

ダッチオーブンによる燻製を、皆で絶賛することしきり。近々自分も買ってつくってみよう、と大いに盛り上がり、土日にダッチオーブンが一気に普及すること間違いなし、という空気になりました。はたまた土日の活動を今後どう展開するかという話題に飛び、趣味と実益の、実益にもう少しウェイトを置こうとか、いや金儲けは考えないほうがいい、とか意見が分かれ、あるいは食品会社はどこが有望かといった株の話になったり、あるいは5回も心臓の手術(カテーテル)をしたという体験に基づいた健康の話になったり、皆リラックスの塊となり談論風発し続けました。話疲れた者、飲みすぎた者は、後ろの芝生にゴロリ横になりました。話好き組の面々もさすがに10時半ごろにはエネルギーが切れ、料理の片づけをしたのち、2階の寝室へ行って爆睡したのでした。

夜気に包まれ身も心もリラックスしての宴 同左
夜気に包まれ身も心もリラックスしての宴
同左

●貝採り・カニ捕り・釣りで遊ぶ
20日。皆5時ごろに目が覚めた模様。ボクも5時から1時間ばかり、朝の穏やかな空気に包まれた庭のベンチにボケーッと座っていました。そして6時ごろから活動開始。土地でシッタカ(尻高)と呼ばれる小さな巻貝を採りに、中本邸から歩いて直ぐの海へ出かけました。でも場所悪く空振り。この間、他のメンバーは中本さんの案内で少し離れたポイントへ行ったとのことで、追っかけ行くと、麻賀さん、若月さん、勝海さん、土肥さんら頑張り屋さんたちが、腰まで海につかりシッタカを採っていました。麻賀さんは夕べの食べ残しのイカでカニ釣りです。岩場に砕ける波しぶきをものともせず、一生懸命に採っています。皆、全身で楽しんでいます。追っかけ行った宮本さん、吉田さん、ボクも負けじと、海に入り岩に付くシッタカを探しました。勝海聡子さんと宮崎貞子さん(家内)はゴザに座り海を眺めたり、貝殻を拾っています。皆、思い思いの海遊びです。シッタカは大鍋一杯ぐらい、カニは3匹の収穫でした。茫々と時が流れていきます。

ボクが熱望していた釣具を誰かが持ってきていました。「釣りやりましょう!」。トウシロウのボクが言うと、吉田さんがキャスティングの釣竿にリールをセットし(このように言うのでしょうか?)、キャスティングの仕方を手取り足取り教えてくれました。餌は? 採ったばかりのシッタカを石で潰した身です。餌を釣り針3個の釣り糸に付け、いよいよ釣り開始です。

磯遊びを楽しむ(梁塵秘抄の後白河法皇の心境) 海釣り初挑戦で宮崎、河豚を釣り上げる
磯遊びを楽しむ(梁塵秘抄の後白河法皇の心境)
海釣り初挑戦で宮崎、河豚を釣り上げる

●人生初の海釣りで、フグ4匹が入れ食いで釣れる
海底にいくらか砂場がありそうな場所で、釣竿を思いっきり大きく回転させ糸先を20メートルも沖の海中へ投げ入れました。「糸のたるみを戻さなきゃ。ハイ、リールを巻いて」と師匠に言われ、巻き始めると、竿がピクピクっと動き、その振動が手に伝わってきました。「かかった、かかった。巻いて巻いて」と師匠。言われるままに糸を巻くと、白い魚が引き寄せられてくるではありませんか。ドキドキしました。魚は7、8センチのフグでした。

感動しました。初釣り、そして入れ食い。あの、手の感触。皆にはやされ祝福され、2度目に挑戦しました。すると、再び入れ食い。そして今度は2匹一緒に釣れたではありませんか。興奮しました。1度キャスティングを失敗、4度目を投げると、これも入れ食いで1匹がかかりました。ものの5分ばかりの間に、3度4匹もかかり、そのときのピクピクとする手の感触は忘れられません。得もいえぬ快感! この快感はボクを釣りの道へ引っ張り込まずにはおかないだろうと思いました。人生後半の新らしい楽しみの発見です。かかってくれた4匹のフグたちよ(全部解放)有難う。そして、吉田さん、有難うございました。

白浜の観光も忘れずに。野島崎の灯台で。 海岸の海女の像(白亜マンションの下が中本邸)
白浜の観光も忘れずに。野島崎の灯台で。
海岸の海女の像(白亜マンションの下が中本邸)

●シッタカ貝とヤドカリの味噌汁を白浜の名物料理に
11時。いったん中本邸へ引き上げ、最後の遊び、野島崎灯台見学に2台の車に分乗して向かいました。観光も外さない欲張り屋ぞろいなのです。灯台の展望台で1句詠んで≪野島崎 頬撫でる風 もはや秋 吉田昭南≫、残り時間を気にして帰還しました。時に12時。早速、吉田さんと料理好きの若月さん(今回の遊びでともに板長と呼ばれた)が収穫物の料理をし始めました。1つはシッタカ煮。妻楊枝で貝の身を引き出して食べましたが、ツブ貝に似た味で、ビールにぴったしでした。もう1つは、シッタカの貝を棲家にしたヤドカリを、シッタカと一緒に煮込む味噌汁で、なかなかコクのある乙なお汁でした。喜んだのは中本さんで、「これぞ白浜名物にできる料理。シッタカはずいぶん減っているけれど、その殻で生きるヤドカリはいっぱいいるから」。面白い発想ではありませんか。

昼食のメインは夕べの宴の残りものの魚肉を入れたリゾット。というより”白浜チャンコ”で、これが「24時間うまいもの尽くし」の仕上げでした。そして、最後の仕事である食堂・厨房・玄関の掃除機と雑巾がけ、ゴミの整理などを全員汗みずくでやりました。2時20分。中本さんに心からのお礼を言い、近くの「道の駅」へ急ぎました。海産物のお土産をいっぱい買い込み、3時15分、安房白浜から7人が東京行きのバスに乗り込んだのでした。

長尺のレポートに、どうしても書き加えておかなければならないのは、中本邸の食客・アメリカ人英語教師のMr.マイケル・ヘイヴン(39歳)のことです。彼は白浜の小中学校の英語教師から、この9月より山口県周防大島の英語教師に転出するとのことで、旧知の中本邸に数日間の寄宿をしていて、ボクらの交流の半分ぐらいを伴にしたのでした。日本研究をし、そこから題材を得て小説家を目指したいと英語と日本語を交えて熱く語りました。静かで長閑な環境の白浜で夏のひと時を過ごす・・・と冒頭に書きました。でも、そうした静かな長閑なところで人は誰も、熱く、一生懸命に生きていることを垣間見た思いがしました。また、ボクの持論ですが、21世紀は都市と農山漁村の融合が一大テーマであることを改めて強く実感したのでした。

●駄句5句で、白浜遊びを締めくくります
≪一瞬の 夏かげろひて 永遠の夏  隆行≫
≪尻高貝 ヤドカリに家 盗られをり  隆行≫
≪初釣りの 河豚に太公望 発心す  隆行≫
≪法皇の 謂ひし戯れ 海遊び  隆行≫
≪白浜に 半農半漁を 談論す  隆行≫

(8月23日 宮崎記す)

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■8月12日 06夏、嬉しい、新しい仲間

8月12日。お盆休みの初日。道路の混雑など気にしないメンバー5組8人が出動しました。そのうち1組は、東京の吉田さんと孫のダイシロウ君(小5)とユウダイ君(小2)の3人で、吉田さんは7月からの新会員。農業・農的生活・食へ物の関心高く連週の出動。嬉しいご参加です。我が家の山ノ神も2ヶ月前の手首の骨折が半分回復し、畑が恋しくなったと久しぶりの出動と相成りました。他は麻賀さん、若月さん、勝海さんと毎週出動の面々。皆さんの普段の行い芳しいのでしょう、この日は前日までのカンカン照りがウソのような曇天。「農作業日和」の中、吉田さんは早朝7時から、他も9時前後から見事に伸びた雑草取りからスタートしました。

メヒシバ、エノコログサ、チカラシバ、カヤツリグサといった繁殖力・伸長力・根の張力ともに強い”雑草王”が、畝の間や畑の通路に”跳梁跋扈”しています。しゃがんで鎌で根を切り、引っこ抜き、少しずつ少しずつ除草して行きます。吉田さんは買ったばかりの柄長の引っかき鎌を使い、その効果を確かめるように、ネギの畝間などの草に挑んでいます。ダイシロウ君とユウダイ君も、準備良く鎌をもってきていてお爺ちゃんを手伝います。「ちょっと待って、記念写真を」とボクがデジカメに納めました。二人は「自然大好、虫も大好き」。草取りのあとは、猛然栗畑に走り込み、カブトムシ探しに躍起でした。朝2時間ばかりで、草取りは大いに進み、われらの師匠(地主さん)永瀬さんも「キレイになったね」と満足気でした。畑の残り3分の2は草刈機で午後に・・・思っていたら、予報外の雨で次回持越し。ザンネーーン!

夏休みの小学生の孫と一緒に出動の吉田さん 同左
夏休みの小学生の孫と一緒に出動の吉田さん
同左

秋野菜の播種もこの時期はずせない作業です。3人がジャガイモの後地に石灰をまき、耕運し、畝作りをします。畝2本をつくりマルチをかけ、午後ダイコンとニンジンの種をまくまでにし、12時半、昼食にしました。例の梨の木の樹陰です。写真撮るのを忘れるほど、初対面の吉田さんと孫の二人との「お近づき話」をしました。二人の名前の漢字も聞き、雄大な良い名だね、名は体を現すね、などと「畑のオジさんたち」が感想を口にしました。都会っ子は普段は何をして遊んでいるのでしょう? そんな話になり、やっぱり「TVゲームは欠かせない」とのこと。でも良く聞くと、お母さんと約束して「週に3日と決めている」と。エライ!

1時間後。空俄かに掻き曇り、ポツポツ落ちてきました。ほどなくバラバラっと来て、大慌てで昼食の片づけをしました。それまでに収穫していたトマト、キュウリ、紫シソ(シソジュースをつくる)などを家族分に分け、それらお土産をそれぞれの車にしまいました。それで中締め。吉田さんら2組が引き上げると、なにやら空が明るくなり始め、残った3組で、もう一仕事しようと、小雨にかまわず耕運機と草刈機のエンジンをかけると、雷が鳴り始め、直ちに「止めよう」と意見一致。すべて次回回しとしました。われら土日農業はすべて融通無碍。ケセラセラです。おかげで、体力残して店仕舞い出来た、とほっとしました。最後に、シソの葉をたっぷり摘み、ナス、ピーマン、オクラ、インゲンなどを収穫し、この日もお土産いっぱいで、珍しく3時半に八郷にサヨナラ。ほどよく楽しく働き、豊かな気持ちに包まれた1日でした。ところが途中、高速道路で渋滞に巻き込まれ、日本のインフラの悪さにいつものごとく頭を熱くしましたが。

秋野菜の播種の準備(大根と人参の床づくり) 同左
秋野菜の播種の準備(大根と人参の床づくり)
同左

来週19〜20日は、安房・白浜のメンバー中本さんの別荘を訪ね、白浜遊びをする計画を立てています。釣り、BBQの語らいなどで、大いに英気を養いたいと思っています。良い暑気払いにもなることでしょう。

1か月ばかり前に、ボクのメールに「土日農業」の作業を手伝いたいが、とお問い合わせをいただいた東京品川区の方、もしこのページお読みでしたら、再度ボクあて、あなたの住所、電話を書いていま一度メール下さいますか。You might think but, today's this hot.(言うまいと思えど今日のこの暑さかな)皆様、どうぞお元気で。

(8月13日 宮崎記す)

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