3月1日。筑波おろしがときどき地面まで吹き下ろす風の強い、でもお日様がさんさんと春の息吹を降りそそぐ暖かい日。「畑始め」にふさわしい作業日和です。11家族17人が出動。ジャガイモを植えようという一角に17人が”そろい踏み”というのは、なんと賑ぎ賑ぎしく豪華な”幸せ風景”でしょうか。10時ごろ一番最後に到着したボクは、その雰囲気にさっと飛び込みました。嬉しさあふれ、心も足取りも軽く、畑じゅうを歩き回りました。
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切ったジャガイモ
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畦立て機械で畦を立てる
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まず畦立て。機械は、近所の仲良し農家から借りてきたもの。あっという間に10数列(1列30m)ものこんもりした畦が出来上がりました。ジャガイモの種はキタアカリなど3種。畦の天辺に深さ5cmほどの穴を開け、そこにジャガイモの種を埋め込んでいきます。種芋は芽が出掛かっている部分を中心にし、2個か3個に切り分け、そこに草木灰を塗ってスタンバっています。種芋を埋めたら、その上に土をかけ、種芋の株間に肥料を一にぎりずつ埋め込んでいきます。最後にその上から、黒いマルチをかけ作業終了です。マルチは保温と雑草対策ですが、マルチの下に25日も経つと、もっこりと芋の芽が出始めたとき、カッターで穴を開けてやるのです。他に「個人区」として何人かがジャガイモを別途作るという畦を6本もつくりました。
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畦に種芋を埋め込む
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マルチをかける
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冬枯れの畑には、ホウレンソウやネギがポツポツと植わっています。手がすいた人がそれを収穫します。11時ごろから、女性4人が炊き出しの豚汁を作ります。大鍋2個に具いっぱいの豚汁。畑の隅のクラブハウス前に設置した竈から、煙とともに料理の匂いが立ちます。ハウスの横の梅ノ木に、白梅が満開です。のどかな桃源郷が広がっています。
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豚汁に舌鼓を打つ
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17人が入って小屋満員
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ちょうど12時、昼食です。永瀬師匠を呼んできて、クラブハウスの座敷と土間に17人が陣取り、女性群心尽くしの豚汁を食べました。旨い旨い、の声しきり。材料の多くは自作の野菜ですが、「ネギがちょっと硬いなあ」などと贅沢な声も。1週間前に、出動常連組の人たちが樽漬けしハクサイ漬けがたんと出され、あっという間に売れました。「来年はハクサイ漬けと沢庵をたくさん作ろうや」という希望が声高かに上がったのも当然でした。3時ごろ。早々と店じまい。三々五々、みんな車で家路に付きました。「お疲れさーん」「気をつけてねえ」という労いの言葉を掛け合って。これが、メンバーどおし心を通い合わせる得もいえぬ良い一瞬なのです。
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小屋全景(小さな梅ノ木に花が満開)
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どにちファームの入り口
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八郷ファームでは、地主永瀬さんの了解を得て「どにちファーム」に隣接した畑でNPO活動として野菜を作る計画をしています。手始めは昨年秋に植えた空豆で、ジャガイモも相当量作る計画。この作業を翌日にやるべく、ボクともう1組のNPOメンバーの2組の夫婦はこの日、永瀬さんを誘って、筑波山中腹の絶景の国民宿舎・つくばね荘に投宿したのでした。永瀬さんの若いころの苦労話を聞き、今後の八郷ファームの活用の方向などをたっぷりと話し合いました。おっと書き忘れるところ・・・永瀬さん、先月喜寿を迎えられたとのことで、その乾杯も心を込めてやりました。
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永瀬さんを囲んで
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同左
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翌日6時半。東の空から上る日の出を仰ぎ見て、幸福感に浸りました。太平洋の彼方から真っ直ぐわが部屋を刺して昇る太陽の橙色の高貴な美しさといったらありませんでした。ブラボー八郷! 八郷の素晴らしさをまた一つ発見しました。それで、ジャガイモ植えは4人で。種芋を切っているところへ永瀬さんがやってきて「戦後の食糧難の時代はねぇ、芽のところだけを種にしようと、芋の中味をスプーンでくり抜いて食べたよ」とぼそっと口にされました。えっーつ。みんな驚きの声を上げました。これだから、永瀬さんにはいろんな話、聞くといいんだなぁ。いい話を、自分で気づかないまま一杯秘め持っていらっしゃる。で、ジャガイモは夕方までかかり「土日農研」と同じぐらいの面積を植えたのでした。
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「つくばね荘」から仰いだ日の出
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同左
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(3月5日 宮崎記す。)
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