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謡曲「源氏供養」

7月18日/

◆源氏供養 してものがたり 世に永遠に>

・時は春盛り、花の都を後に石山寺をめざす安居院法印を呼び止める一人の女。

・法印に語るに、私『源氏物語』60帖を書き後の世まで知られる身となったと。

・「光源氏を供養しなかったため成仏できずいるので、供養をお願いします」と。

・女は名乗らないが法印は紫式部と悟る。紫に色づく夕方光の中に女は消える。

・夜更に寺で紫式部の菩提を弔う内、灯火の影に幻のように美しい女が現れる。

・紫式部は供養を喜び舞を舞い、成仏を望む願文を記した巻物を法印に手渡す。

・『源氏物語』の巻名を入れた願文は、世の無常を説く仏の教えを書いたもの。

・式部は観世音の化身、物語は世の儚さを人に教えるものだった、と悟る法印。

◎願文の、洗練された美しい詞章の素晴らしさ!世阿弥の筆力のすさまじさよ!

◎謡曲『源氏供養』は、文學の極致だと思う。   (宮﨑隆行)

箙(えびら)

9月13日/

◆<勇猛に 風雅の一枝 箙かな>

・西国の僧が都への途上、摂津の生田川辺りで梅花を眺めいて一人の男と出会う。

・旅僧が男に尋ねると梅の名は「箙の梅」で、それは源平合戦に由来すると答えた。

・生田川合戦で、源氏方梶原源太景季が梅花の枝を箙に挿し戦ったのが由来だと。

・男は景李の亡霊だと正体を明かし、花の木陰に宿をとるようにと言って消えた。

・木陰に夜半、箙に梅を挿した若武者=景季の霊が現れ修羅の奮いの様を見せる。

・一の谷でも箙梅姿で先駆けし秘術を尽くして戦ったと語り、供養を頼み消えた。


・八島、田村と並ぶ修羅物の能。景季は源頼朝に重用された梶原平三景時の嫡男。

・”若武者と梅の花”は、武骨なだけでない風雅な心や教養も重んじた武士の一面。