謡曲「井筒」

12月4日/

◆<能井筒 井戸水覗 くや 愛深し>

・諸国を旅する僧が初瀬参りの途中、在原業平(ありわらのなりひら)建立と伝えられる大和国の在原寺に立ち寄った。僧が在原業平と、妻である紀有常(きのありつね)の息女夫婦の冥福を祈る。毎朝のこと、そこへ仏にたむける花水を持った里女が現れる。僧は里女に如何なる人かと問うと、業平と有常の娘の恋物語を語る。幼い頃、井戸の水に姿を映して遊んだ2人は、成人して歌を詠み交わして結ばれた。里女は自分が筒井筒と呼ばれた有常の娘であると告げて、古塚の蔭に消えた。

・夜も更け僧が仮寝をしていると、夢に井筒の女の霊が業平の形見の冠と直衣(のうし)を身に付けて現れる。業平を恋い慕いながら舞い、井戸の水に自らの姿を映し業平の面影を見るのだった。やがて在原寺の鐘が鳴り夜が明けると、井筒の女は姿を消し、僧も夢から覚めた。

・(注)世阿弥作。作者が「上花也」〔最高級の作品〕と自賛する夢幻能の傑作とされる。(ネット「the-Noh.com」より)。

・(解説)伊勢物語の第二十三段「筒井筒」を軸とし、ここに登場する男女を、在原業平と紀有常の娘と解釈しています。待つ女である井筒の女(=有恒の娘)が、業平の形見を着て井戸に身を映し、昔を回想するという幻想的な能で、すすきをつけた井戸の作り物が、秋の寂寥感を際立たせます。(同上サイトより)

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