12月7日/
◆<卒都婆小町 朽ち木も老いも 受け入れむ>
・高野山の僧一行が都への途上、摂津国阿倍野に差しかかったとき、乞食の老婆が朽木の卒都婆に腰掛けているのに気づく。僧は老婆が仏を粗末にしていると、卒都婆から立ち退くよう説教するが、老婆は含蓄ある言葉を返して言い負かしてしまう。老婆をただ者ではないと見た僧は、老婆に深く礼を尽くした。
・老婆は自信たっぷりに歌を詠み僧を感心させる。僧が老婆に名を尋ねると、老婆は「小野小町のなれの果てだ」と明かす。小町は美貌の昔を懐かしみ、老いた今を嘆き狂乱してしまう。小町には昔、自分を恋慕した深草少将の怨霊が憑りついていたのだ。深草少将は小町に恋し、小町に「百夜私のもとに通ってきたら受け入れる」と言われ、九十九夜まで通ったが、最後の一夜を残し死んでしまった。少将の無念の思いが怨念となり、老いた小町を苦しめていたのだ。小町は狂乱し少将の百夜通いの様子を再現し、やがて狂いから醒める。後世の成仏を願うことが人の道だと悟り志す。
・当曲は、老女物と呼ばれる五曲、「関寺小町」「檜垣」「姨捨」「鸚鵡小町」「卒都婆小町」の一つとされる。
・卒都婆は、卒塔婆。