12月11日/
◆<猩々と 酒注ぎ交わし 温もらん >
◎百番集の中で、もっとも短い曲目です。中国の伝説で、酒が主題。分かりやすく目出度い謡です。ネット「the-Noh.com」の解説をそのまま「みどころ」も含めて記載します。<猩猩>とは何ぞや? 最後に「広辞苑」の解説を書きます。
以下は、ネット「the-Noh.com」より
中国のかね金山(きんざん)※の麓、揚子(ようず)の里に、高風(こうふう)という大変親孝行の男が住んでいました。ある晩のこと、高風は、揚子の市でお酒を売れば、富み栄えることができるという夢を見ます。夢のお告げに従って、お酒の商売をしたところ、高風はだんだんとお金持ちになっていきました。
高風が店を出す市では、不思議なことがありました。いつも高風から酒を買い求めて飲む者がいたのですが、いくら酒を飲んでも顔色の変わることがありません。高風が不思議に思い、名を尋ねると海中に棲む猩々だと名乗りました。
その日、高風は、酒を持って潯陽の江のほとりへ行き、猩々が現われるのを待っていました。そこへ赤い顔の猩々が現われます。猩々は友の高風に逢えた喜びを語り、酒を飲み、舞を舞います。そして心の素直な高風を称え、今までの酒のお礼として、酌めども尽きない酒の泉が湧く壷を贈った上で、酔いのままに臥します。それは高風の夢の中での出来事でしたが、酒壷はそのまま残り、高風の家は長く栄えたといいます。まことにめでたいことでした。
※かね金山:中国江蘇省の揚子江沿岸の山。中国に「きんざん」と発音する山には金山と径山があり、区別するために前者を「かねきんざん」、後者を「こみちきんざん」と呼んだ。
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一曲が祝言の趣を持った曲です。「乱(みだれ)」または「猩々乱(しょうじょうみだれ)」の小書(こがき)※※がついて、曲中でシテが舞う中之舞を、乱(みだれ)という特殊な舞に変えて演じることが多々あります。この場合、番組上では「猩々」ではなく「乱」または「猩々乱」と記されます。「乱」「猩々乱」は披き物の一つで、特別な修練が必要とされます。このほかにも、酒壷を出したり、大勢の猩々が登場したりする、面白い小書もあります。
曲の内容はシンプルで、ストーリーを追いかけることより、祝賀、慶賀の雰囲気を現すことが主眼とされます。真っ赤な顔のチャーミングな怪物、猩々の喜びの舞を余すところなくお楽しみください。(ここまで「the-Noh.com」より)
◎<猩猩>とは? 以下、「広辞苑」より。
① 霊長目の大形の類人猿。ボルネオ・スマトラの森林にすむ。直立したときの高さ約1・4m。毛は長く赤褐色、顔面は無毛でやや鉛色、腹部は脹れ、耳小さく上肢がいちじるしく長く、直立するとくるぶしまで達する。(中略)オランウータン。(以下略)。②中国で、想像上の怪獣。人に似て体は狗のごとく、声は小児のごとく、毛長く、その毛色は朱紅色で、面貌人に類し、よく人語を解し、酒を好む。(以下略)。