日別アーカイブ: 2021年10月30日

謡曲「雲林院」

10月30日

◆<雲林院 折るや折らずや 花の枝>

・『伊勢物語』(在原業平作とされる)に想を得た謡曲目。二段構えの霊夢物語。

・摂津・蘆屋の里の公光は幼き頃より「伊勢物語」を愛読、霊夢を見て都へ向かう。

・京の雲林院で公光が桜花を一枝折ると、一人の老人が現れ古歌を引いて咎める。

・公光も古歌を引いて応え風流な花問答となり、公光が先日見た夢の内容を語る。

・ 夢は➡紅の袴の女性と束帯姿の男性が「伊勢物語」の本を手に花蔭に佇んでいた、

・➡近くの翁に聞き二人は「伊勢物語」の在原業平と二条后と分かったというもの。

・そこで夢が覚めたと言う公光。老人は自分が業平の化身だと仄めかして消えた。

・公光は木陰で一夜を取る。月光の下、業平の霊が艶やかな”まめ男”姿で現れる。
・業平は「伊勢物語」の秘話を語る。➡あの夜、弘徽殿こうきでんに佇んでおられた二条の后。

・➡美しい后と共に内裏から忍ぶ恋路へ出た。花散る芥川を渡り迷い行った、と。

・夜遊の舞楽が映える中、夜が明け始め業平の姿は次第に消え公光の夢も覚めた。

・冒頭の桜談義・・・老人は「花に憂きは嵐というが、枝を折るのは嵐以下」と咎める。

・公光の反論・・・「古い歌に<花を見ぬ人のため一枝手折って行く>とありますぞ」

・「花を慕うのは人情でしょう」。桜談義が歌論議で進み、『伊勢物語』に通じる。

謡曲「正尊」(しょうぞん)

10月29日

◆<正尊の 文の力も 心根も>

・史実とされる演目。源義経は兄頼朝に鎌倉入りを拒まれ京堀川の邸で謹慎した。

・頼朝配下の土佐坊正尊が鎌倉から上洛。義経は弁慶に正尊を連れて来させる。

・討ちに来たかと問い詰める義経に対し、正尊は熊野参詣の途中だと弁明する。

・正尊は咄嗟に作った起請文を読む。義経は偽りと知り名文に感心した風を装う。

・そして宴席を設け歓待した。静御前の舞も披露したあと正尊を宿所へ帰した。

弁慶が手下に調べさせると、正尊は武器や馬を揃え義経襲撃の準備中であった。

・義経は弁慶や家来とともに待ち構え、正尊の軍を迎え討って正尊を捕縛した。

・「正尊」の起請文、「安宅」の勧進帳、「木曾」の願書は「三読物」と言われる。