謡曲「熊坂」

11月26日/

◆<能熊坂 隠れ得ぬ悪 隠れる善>

▼都の旅僧が東国修行へ出る。その途中、美濃国・青野が原にやってくると、一人の僧に呼びかけられる。僧は旅僧に「今日はある人の命日なので、その人を弔って欲しい」と頼む。▼誰を弔えばいいのか明らかにしないので旅僧は不審に思うが経を唱え回向する。▼夜になり持仏堂に入ると、仏の絵像や木像は無く、大薙刀や鉄の棒、多くの兵具が置かれている。▼旅僧が訳を聞くと僧が答え、この辺りに山賊や夜盗が出るので、人々を助けるために備えていると明かす。▼僧が寝室に入って行く。すると僧の姿は消え庵室も草叢となってしまい、旅僧は不思議がる。

▼(ここで間狂言が入る)。旅僧は土地の者と出会い、以前にこの辺りで悪行を為した者がいないか尋ね、熊坂長範のことを教えられる。

▼明け方になり旅僧は、僧自身が熊坂長範であることを直接聞いて知り、悪行の有様を語るよう促す。▼熊坂の霊が語るには、黄金を商う三條の吉次信高がこのあたりを通った際、多くの屈強の盗賊達と一緒に襲った、と。▼しかし吉次に同行していた牛若 [後の源義経] に斬り伏せられたと、戦いの一部始終をこと細かに語り、最後は牛若に斬られてしまったーーと悔しがった。▼語り終えた熊坂は、再び旅僧に弔いを頼んで消えて行った。

◎熊坂長範を扱った現在能には「烏帽子折」があり、こちらを「現在熊坂」とも呼ぶのに対して、夢幻能の本作は「幽霊熊坂」と別称されることもある。(この項、ネット「the-Noh.comより)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。