12月1日/
◆<半蔀の 奥にほの見ゆ 美人(ひと)の夢>
・京都紫野の雲林院に住む僧が、ひと夏かけた安居(あんご)の修行を終わろうとして、毎日供えてきた花の供養を行っていた。そこへ黄昏時に女が現れ一本の白い花を供えた。僧がそれは如何なる花かと尋ねると、女は夕顔の花だと答える。続けて僧が女の名を尋ねると、名乗らなくともそのうちに分かるだろうと言い、五條辺りに住んでいるとことを明かして花の陰に消えてしまった。
・(間狂言が入る)僧は里の者から、光源氏と夕顔の君の恋物語を聞き、先程の女の言葉を頼りに五條を訪ねる。そこに昔のままの佇まいで夕顔の花が咲くうらぶれた家があった。僧が菩提を弔おうとすると、草の半蔀を上げて夕顔(霊)が姿を現わし、光源氏との恋を語り舞を舞った。そして僧に重ねて弔いを頼み、夜が明けないうちにと半蔀の中へ戻って行った。すべては僧の夢の出来事だったのである。
・(注)冒頭の詞章「ひと夏かけた安居」とは・・・夏安居(げあんご)のことを言う。九十日間籠もる座禅行である。
・(解説)ネット「the-Noh/com」によると・・・<夕顔は、光源氏の恋人のひとりです。京の五条あたりでふと目にとまった、身分もわからない、夕顔の花のように可憐なこの女性に、源氏はいたく心引かれ、情熱的に愛します。しかし、それも束の間、連れ出した先で、夕顔は物の怪に取り殺され、短い恋は終わりを告げてしまうのです>。